グルタミン代謝
各シグナル伝達経路に関連する製品が記載されたダウンロード可能なパスウェイ図の全リストはこちら
2026 © Cell Signaling Technology. All Rights Reserved
グルタミンは、急速に増殖する細胞で需要が増加する、ATPや生合成前駆体、および還元剤を供給する重要な代謝燃料です。グルタミンは、アミノ酸トランスポーターであるASCT2/SLC1A5を介して細胞に入り、グルタミナーゼ (GLS) によって触媒される脱アミノ反応によりミトコンドリア内でグルタミン酸に変換されます。グルタミン酸は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ (GDH) または、アラニンアミノ基転移酵素もしくはアスパラギン酸アミノ基転移酵素 (TA) のいずれかによって、TCA回路の中間体であるα-ケトグルタル酸 (α-KG) に変換されます。これらの酵素は、α-KGの他に、それらに対応するアミノ酸を産生します。α-KGは、ATP産生および、アナプレロティック反応と呼ばれるTCA回路の中間体の補充の両方で機能する重要な代謝産物です。低酸素状態またはミトコンドリア機能不全下では、α-KGは、IDH2によって触媒される還元性のカルボキシル化反応においてクエン酸に変換されます。新たに産生されたクエン酸はミトコンドリアを出て、脂肪酸やアミノ酸の合成、さらに還元剤であるNADPHを産生するために使われます (カタプレロティック反応)。細胞質において、グルタミンはヌクレオチドおよびヘキソサミンを合成するためγ (アミド) 窒素を供与し、これによりグルタミン酸が産生されます。細胞質のグルタミン酸は、酸化還元ホメオスタシスを維持し、グルタチオン (GSH) の産生を通じて酸化ストレスから細胞を保護するために重要です。多くのがん細胞は、がん遺伝子依存性のグルタミン嗜癖を示し、グルタミン自体も増殖性のシグナル伝達を促進します。例えば、SLC1A5を介したグルタミンの流入は、SLC7A5/LAT1トランスポーターを介した流出と共役し、これによりロイシンが細胞に入り、mTORC1媒介性の細胞増殖が可能となります。さらに、シグナル伝達分子であるAkt、RasおよびAMPKは解糖酵素を活性化して乳酸産生を誘発するため (ワールブルグ効果)、癌細胞は増加したエネルギー需要を満たすためにグルタミン代謝を必要とします。がん原遺伝子であるc-Mycは、GLSおよびSLC1A5遺伝子の転写活性化によりグルタミン分解を亢進させます。成長因子受容体などのタンパク質のグルタミン媒介性のグリコシル化は、タンパク質を細胞表面にターゲティングし、それらの活性化を誘導します。
参考文献:
- Chen L, Cui H (2015) Targeting Glutamine Induces Apoptosis: A Cancer Therapy Approach. Int J Mol Sci 16(9), 22830–55.
- Hensley CT, Wasti AT, DeBerardinis RJ (2013) Glutamine and cancer: cell biology, physiology, and clinical opportunities. J. Clin. Invest. 123(9), 3678–84.
- Jin L, Alesi GN, Kang S (2016) Glutaminolysis as a target for cancer therapy. Oncogene 35(28), 3619–25.
- Kim MH, Kim H (2013) Oncogenes and tumor suppressors regulate glutamine metabolism in cancer cells. J Cancer Prev 18(3), 221–6.
- Lukey MJ, Wilson KF, Cerione RA (2013) Therapeutic strategies impacting cancer cell glutamine metabolism. Future Med Chem 5(14), 1685–700.
- Xiao D, Zeng L, Yao K, Kong X, Wu G, Yin Y (2016) The glutamine-alpha-ketoglutarate (AKG) metabolism and its nutritional implications. Amino Acids 48(9), 2067–80.