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DNAのメチル化

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HDAC2 Maintenance Methylation During DNA Replication De novo Cytosine Methylation UHRF1 CAF1 DNMT1 DMAP1 PCNA DNA Methylation Active Gene Nucleosome Depleted Region Inactive Gene Inactive Genes TF TF TF TET1/2/3 HDAC1 HDAC1 DNMT3L DNMT3L DNMT3A/B DNMT3A/B MBD1 MCAF SETDB1 HP1 MeCP2 MBD1 MBD2/4 HDAC MBD2/4 NuRD Complex HDAC MeCP2 SUV39H1 CoREST Sin3A Tet-Mediated Cytosine Demethylation Cytosine BER DNMT 5-Formylcytosine 5-Methylcytosine Tet 1/2/3 Tet 1/2/3 Tet 1/2/3 5-Hydroxy Methylcytosine TDG 5-Carboxycytosine ATP Heterochromatin Euchromatin TSS TSS UHRF1 CAF1 DNMT1 DMAP1 PCNA TSS —H3K36me3 —H3K4me0 —5-Hydroxy Methylcytosine —Methylcytosine —Cytosine —H3K9me3 —H3K27 Acetyl Key rev.01/14/20

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エピジェネティックな変化は、DNA配列をまったく変化させることなく、遺伝子の活性や発現に影響を与えます。DNA、ヒストンどちらの場合もタンパク質のネットワークによってエピジェネティクス制御が行われており、この過程には次のようなものが含まれます:1) ライタータンパク質によるエピジェネティックマークの付加、2) イレイサータンパク質による既存のエピジェネティックマークの除去、あるいはリーダータンパク質によるエピジェネティックマークの読み取りと応答。エピジェネティック修飾には次の大まかなグループがあります:アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化。

メチル化とは、メチル基 (-CH3) がDNA (主にシトシン塩基)、またはヒストン尾部のアルギニン残基やリシン残基に直接付加する修飾です。DNAのメチル化は一般的に、遺伝子発現抑制に関与します。一方、ヒストンのメチル化は遺伝子発現の促進と抑制の両方に関与します。

DNAメチル化のライター

DNAメチル化のライターは、DNAメチルトランスフェラーゼ (DNMT) として知られています。DNMT1はDNAメチルトランスフェラーゼファミリーのメンバーで、増殖する細胞に発現し、DNA複製で合成された新生鎖に鋳型鎖のメチル化パターンを複写する機能 (維持メチル化) を担っています。DNAのメチル化は胚発生初期に活発で、ライタータンパク質であるDNMT3AとDNMT3Bによってゲノムのヌクレオソーム非存在領域の新規メチル化が行われると考えられています。DNAの新規メチル化において、DNMT3LはDNMT3A/3Bの機能補助や制御に寄与していると考えられています。DNMT3Lは酵素活性を持たないDNMT3A/Bのホモログで、標的DNAへの結合を補助しています。さらに、PCNAやUHRF1、DMAP1、DNMT3L、ヒストンデアセチラーゼ (HDAC) などのタンパク質が、DNMTのゲノム上の適切な領域へのターゲティングやメチルトランスフェラーゼ活性の制御に関与し、DNAに新規のメチル化マークを付与する過程に寄与しています。

正常細胞のCpGアイランド (シトシン-グアニンヌクレオチドが>50%の頻度で並列して現れる領域) は通常、ゲノムの他の領域に比べてメチル化レベルが低く抑えられています。がん細胞では多くの場合DNMTが高発現しており、がん抑制遺伝子のプロモーター領域のCpGアイランドが高度にメチル化されます。これによってがん抑制遺伝子の発現が抑制され、造腫瘍性が亢進します。また、CpGアイランドの高メチル化状態はインスレーターの構成成分であるCTCFタンパク質の結合を妨害します。インスレーターは隣接する遺伝子を区切る壁として機能する仕組みで、これによって個々の遺伝子がお互いに干渉することなく独立に制御できるようになります。インスレーターの機能が失われることで、がん遺伝子が活性化されることもあります。DNMT1、DNMT3A、DNMT3Bは、急性および慢性骨髄性白血病、結腸癌、乳がん、胃がんなど多くのがんで過剰に発現しています。遺伝子本体 (gene body) や遺伝子間領域のメチル化レベルはがんで低下することが知られており、これが発がんに関与する可能性もあります。

DNAメチル化のイレイサー

5-メチル化シトシンは遺伝子発現を抑制するエピジェネティックマークで、上記のように、DNMT3A/Bによって新規に書き込まれます。DNA複製の際、DNMT1によってこのメチル化が新生鎖に写し取られますが、従来DNAのメチル化修飾の除去は、この維持メチル化が抑制されることでDNA複製に伴って起こると考えられてきました (受動的脱メチル化)。しかし、その後の研究で、メチル化されたシトシンの酸化を触媒する酵素であるTET (Ten-Eleven-Translocation) ファミリーがメチル化修飾を除去するイレイサーとして機能することが分かってきました。すなわち、TET1、TET2、TET3を介して、5-メチルシトシン (5-mC) が連続的に酸化され、順番に5-ヒドロキシメチルシトシン (5-hmC)、5-ホルミルシトシン (5-fC)、5-カルボキシルシトシン (5-caC) と変化します。5-fCと5-caCは、チミンDNAグリコシラーゼ (TDG) によって塩基部分が除去され、塩基除去修復 (BER) 機構を介して未修飾のシトシンに置きかわります (能動的脱メチル化)。一方、5-hmCはプロモーター領域に濃縮されている独特のエピジェネティックマークで、発生中の脳で増加することが知られています。5-hmCはメチル化CpG結合タンパク質2 (Me-CP2) と相互作用をもちますが、H3K9とH3K27のトリメチル化修飾と逆相関することから、遺伝子の活性化に寄与すると考えられています。また、CpGアイランドの脱メチル化は、転写因子やCTCFタンパク質のDNAへの結合を促進することで、遺伝子の活性化やCTCFインスレーター機能を正に制御します。

骨髄性白血病や黒色腫などのがんで5-hmCレベルが低下することが知られており、また、TET2は骨髄異形成症候群で最も高頻度に変異がみられる遺伝子です。したがって、DNAメチル化のマークは前立腺がんや黒色腫、口腔扁平上皮がんなど、特定のがんの診断と予後の判断に有用です。

DNAメチル化のリーダー

発生中に起こった新たなメチル化は、リーダータンパク質のメチル-CpG-結合ドメインタンパク質 (MBD) ファミリーメンバーが認識し読み取ることができます。特にMeCP2、MBD1、MBD2/4リーダータンパク質はメチル化マークを読み取り、DNMT1やヒストンデアセチラーゼ (HDAC1、HDAC2) などのコリプレッサータンパク質をリクルートすることにより、転写的に不活性なクロマチンの領域を構築し維持します。NURD (nucleosome remodeling and histone deacetylation) は、MBD2やMBD3、HDAC1やHDAC2を含むコリプレッサー複合体です。新たなメチル化は、ゲノム刷り込みの維持や特定のトランスポゾンのサイレンシングにも関与します。MeCP2は脳で高発現することが知られていますが、レット症候群の原因遺伝子としても知られています。

参考文献:

本パスウェイ図の作成にご協力いただいたテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターDepartment of Epigenetics and Molecular CarcinogenesisのTaiping Chen博士に感謝いたします。

作成日:2018年9月