チラミドによるシグナル増幅を利用した蛍光マルチプレックス免疫組織化学染色 (mIHC)
A. 溶液、試薬、キット
- キシレン
- エタノール、無水変性、組織学的グレード (100%および95%)
- 脱イオン水 (dH2O)
- 抗原賦活化溶液:
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3%過酸化水素:
- 3%% H2O2を500 mL調製する場合:30% H2O2 50 mLをdH2O 450 mLに加えます。
- SignalStain® Antibody Diluent (#8112)
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洗浄バッファー:1X Tris Buffered Saline with Tween 20 (TBST)
- 1X TBST 1Lを調製する場合:10X TBST #9997 100 mLをdH2O 900 mLに加えてください。
- SignalStain® Boost IHC Detection Reagent (HRP rabbit #8114、HRP mouse #8125)。
- TSA® Plus Fluorescein kit (Akoya Biosciences、NEL741001KT)
- TSA® Plus Cyanine 5 kit (Akoya Biosciences、NEL745001KT)
- TSA® Plus Cyanine 3 kit (Akoya Biosciences、NEL744001KT)
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ストリッピング溶液:10 mMクエン酸ナトリウム、pH 6.0
- 10 mMクエン酸賦活化溶液を500 mL調製する場合:SignalStain® Citrate Unmasking Solution (10X) #14746 50 mLをdH2O 450 mLに加えます。
- ProLong® Gold Antifade Reagent with DAPI #8961
B. プロトコールの概要
チラミドシグナル増幅 (TSA®) を伴う蛍光mIHC法では、1つの組織切片で複数の 標的タンパク質を段階的に同時検出できます。この手法は、一次抗体 と二次抗体を用いてシグナルを増幅させる間接免疫蛍光染色による検出をベースにしています。
下記のプロトコールでは、HRP標識二次抗体を、目的の 標的/抗原に特異的な未標識一次抗体に結合させます。最終的には、HRPの基質として機能する、蛍光標識チラミド分子を検出します。活性化された チラミドは、標的タンパク質上または近隣のチロシン残基と共有結合を形成し、 抗原の部位に恒久的に沈着します。そのため、抗原部位に沈着した蛍光シグナルを保持しつつ、一次/二次抗体ペアの段階的なストリッピングが可能です。 このプロセスにより、複数ラウンドの染色を連続して行うことができます。この方法の主な利点の1つは、クロストークを懸念することなく 同じ宿主種の複数の一次抗体を、使用できることです。これにより、マルチプレックスパネルの設計 プロセスが大幅に簡素化され、実現可能となります。
C. 重要な考慮事項
チラミドを使用する蛍光マルチプレックスIHC実験の成功を左右する考慮すべき事項がいくつかあります。
一次抗体の濃度:マルチプレックスパネル内の各一次抗体の最適希釈率は、条件検討を行って決定してください。 チラミド沈着による蛍光シグナルの増幅により、メーカーが推奨する希釈率とはしばしば 大きく異なる場合があります。適切な強度を持つ蛍光色素を用いて各抗体の力価測定を行い、 マルチプレックスに用いる各抗体の最適化を行うことを強くお勧めします。
順番の最適化:マルチプレックスパネル内の抗体を組織切片に反応させる順番を最適化し、 複数回の加熱処理により標的エピトープの完全性が損なわれないようにすることが重要です。マルチプレックスパネルの各スロット内において、蛍光シグナルがパネル内の 相対的な位置によって他の標的の染色による影響を受けていないことを確認するために、中程度の強度の蛍光色素を用いて 最適化された各一次抗体の試験を行うことを推奨します。
抗体と蛍光色素の組み合わせ:通常、最も発現の低い標的を検出する抗体には、 最も明るい蛍光色素を使用することを推奨します。パネル内の各標的における最良のシグナル強度とS/N比を 得るためには、最適化された一次抗体と使用可能な各蛍光色素の組み合わせた検証を行うことを推奨します。
D. プロトコール
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スライドベーキング (オプション)
- スライドを水平に保ったまま、60°Cで1.5時間インキュベートしてください。
- スライドを水平から垂直に再配置し、60°Cで30分間さらにインキュベートしてください。
注意:このステップで、パラフィンワックスを融解させます。
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脱パラフィン/水和
- 切片をキシレンに浸し、5分間インキュベートしてください。3回繰り返してください。
- 切片を100%エタノールに浸し、10分間インキュベートしてください。2回繰り返してください。
- 切片を95%エタノールに浸し、10分間インキュベートしてください。2回繰り返してください。
- 切片をdH2Oに浸し、5分間洗浄してください。2回繰り返してください。
注意:すべての洗浄操作は、室温で穏やかに振盪しながら実施してください。
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抗原賦活化
注意: マルチプレックスパネル内の各一次抗体に推奨される最適な賦活化溶液については、製品データシートを確認してください。EDTA賦活化 溶液の使用が推奨されている抗体を含むマルチプレックスパネルの場合は、賦活化溶液にEDTAを使用してください。
クエン酸の場合:
- スライドを10 mMのクエン酸ナトリウムバッファーpH 6.0に浸して、電子レンジで沸騰直前まで温めてください。
- 沸騰直前の温度で10分間維持してください。
- 実験台でスライドを室温で30分間、冷却してください。
EDTAの場合:
- スライドを1 mMのEDTA (pH 8.0) に入れて、電子レンジで沸騰直前まで温めてください。
- 沸騰直前の温度で15分間維持してください。その後の冷却は不要です。
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クエンチング
- dH2Oで切片を各5分間、3回洗浄してください。
- 3%過酸化水素に切片を浸し、10分間インキュベートしてください。
- 切片を精製水dH2Oで各5分間、2回洗浄してください。
- 切片を1X TBSTに浸し、5分間洗浄してください。
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抗体染色
注意:組織切片をあらかじめブロッキングすることもできます (必ずしも必要ではありません)。一次抗体の最適な希釈率は、 条件検討試験を行って決定してください。
- 一次抗体をSignalStain® Antibody Diluent #8112で希釈してください。
- 100-400 µLを各切片に加えて、加湿チャンバー内で60分間、室温でインキュベートしてください。
- 一次抗体のインキュベートの間に、SignalStain® Boost Detection Reagent (HRP rabbit #8114、またはHRP mouse #8125) を室温に戻してください。
- 抗体液を除去し、1X TBSTで切片を各3分間、2回洗浄してください。
- 組織切片を、一次抗体の宿主種に適したSignalStain® Boost IHC detection Reagent (HRP rabbit #8114、またはHRP mouse #8125) 数滴 (100-400 μL) で覆ってください。
- 加湿チャンバー内で、暗所で30分間、室温でインキュベートしてください。
- スライドを、1X TBST中で穏やかに振盪しながら、暗所で3分間の洗浄を2回繰り返してください。
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チラミドシグナル増幅 (TSA®)
注意:適切な蛍光標識TSA® Plus amplification reagentを選ぶためには、 標的の発現レベルと蛍光色素の蛍光強度を考慮することが重要です。一次抗体と蛍光色素の最適な組み合わせを、あらかじめ決定しておく必要があります (上記の重要な考慮事項をご覧ください)。
- 蛍光標識されたTSA® Plus amplification reagentをメーカーの指示に従って希釈してください。
- 1スライドあたり100-400 µLをアプライし、加湿チャンバー内で遮光して、室温で10分間インキュベートしてください。
- スライドを、1X TBST中で穏やかに振盪しながら、暗所で3分間の洗浄を2回繰り返してください。
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連続染色
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2種類以上の標的を検出するマルチプレックス染色を行う場合:
- ストリッピング (ステップ8) へと進んでください。
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マルチプレックスパネル内の全ての染色を完了した場合、あるいは単一の標的を
検出する単染色アッセイの場合:
- 封入 (ステップ9) へと進んでください。
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2種類以上の標的を検出するマルチプレックス染色を行う場合:
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ストリッピング
- スライドを10 mMのクエン酸ナトリウムバッファーpH 6.0に浸して、電子レンジで沸騰直前まで温めてください。
- 沸騰直前の温度で10分間維持してください。
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実験台でスライドを室温で30分間、冷却してください。
次のチラミド蛍光標識抗体を用いて、染色/検出 (ステップ5) を進めてください。
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封入
切片を、ProLong® Gold Antifade Reagent with DAPI #8961とカバーガラスで封入してください。注意:スライドをスペクトルライブラリーの作成目的で使用する場合は、ProLong® Gold Antifade Reagent #9071を使用する必要があります。
作成日:2016年4月